今や婚活サービスの定番ともいえる結婚相談所は、元々海外からそのビジネスシステムが伝わって来たものです。
日本にも昔から結婚相手を斡旋する仕組みはありましたが、そのビジネスシステムの影響で結婚観も変化し、仕組みも進化して行ったのです。
こちらでは結婚相談所のルーツや、結婚観の変化などについてお伝えしたいと思います。
日本の結婚相談所の起源
日本における結婚相談所の起源は、古く江戸時代に遡ります。
江戸時代の中期に「慶安」という、結婚相手を斡旋するビジネスが既にあったのです。
人脈があり、地域の人々からの信頼の厚かった「大和慶安」という町医者が、周りの人の縁結びに力を入れていたのがその由来だと言われています。
元々は雇用の斡旋を主に行っていましたが、自分や家族の結婚相手を探したいというニーズが多かった事や、雇用よりも結婚の斡旋の方が利益につながる事などから、縁結びに力を入れるようになったようです。
本格的に「結婚相談所」が登場したのは明治時代になってからです。
明治13年、山口吉衛門という人が「養子女婿嫁妻妾縁組中媒取扱所」を大阪に作りました。
漢字ばかりで分かりにくいですが、簡単に言うと仲介業という意味です。
結婚相談所のビジネスモデルはドイツ
結婚相談所を日本独自のサービスだと思っている方もいるかもしれませんが、実はドイツのビジネススタイルに大きく影響されています。
ここで、現在の結婚相談所のスタイルになるまでの流れを見て行きましょう。
昭和
昭和50年代にドイツの「アルトマンシステム社」が日本にやって来ました。
その理由は、自社の結婚相談所のシステムが他国でも通用するかどうかを確かめるためのリサーチだという事です。
日本が選ばれたのは、戦後復興に成功したドイツと似ていたからだと言われています。
この時に使われたコンピューターによるデータマッチングシステムは、多くの日本人の興味を引きました。
そしてそれが、その後大手企業がマッチングサービスを使った結婚相談所を次々に開業するきっかけへとつながったのです。
平成
昭和60年、結婚相談所ブームはピークを迎えました。
そして平成に入ると大手企業の結婚相談所事業からの撤退や、ドイツのアルトマンシステム社の倒産などにより、結婚相談所は後退期へと移行したのです。
しかしこのビジネスが衰退しなかったのは、それぞれの結婚相談所が様々な新しいサービスを展開して行ったからです。
ネットを使ったサービスや、法人会員制度、また会員の限定など、これまでと違ったサービスが導入されて行きました。
さらにそれまで一般的だった結婚相談所だけでなく、インターネットの普及によって婚活サイトや婚活パーティーなど、気軽に参加出来るものも登場しました。
令和
新しい時代、令和を迎えた現代では、結婚相談所連盟に加盟する結婚相談所だけでも2,000を超えています。
それぞれの条件に合う相手を紹介するだけでなく、自分の条件を入力して検索が出来る結婚相談所も増えています。
また専任のカウンセラーの配置や、自分磨きのセミナーの開催など、より会員が快適にお相手探しをしやすいように、サービスの充実にも力を入れています。
結婚相談所を利用する人の変化
2000年に結婚した人の中で、結婚相談所を利用して結婚した人の割合は0.9%でしたが、2018年には2.4%に上昇しています。
その中で最も利用率が高いのが30代の女性で全体の9%を占めており、その割合は2016年と比べると3.5%増えています。
2016年に最も利用率が高かったのは40代の男性であり、その割合は10.4%でしたが2018年には8.6%とやや減少傾向にあります。
とは言っても、男性は年齢が上がるにつれて結婚相談所の利用者が増えるというのには変わりはありません。
一方女性の場合は30代での利用が最も高く、その後の年代は段々と減っていきます。
結婚観の変化
かつての日本では、人生で1度は結婚するというのが当然というような考えが一般的でした。
しかし近年では結婚に対する意識は大きく変化し、結婚はしたい人がするというような、いわば「選択するもの」と考える人が増えています。
こちらでは過去と現在の結婚観の変化について見てみましょう。
結婚の自由度
現在、結婚を個人の自由と考える人は全年代で7割います。
さらに20代30代にいたっては、9割の人が結婚の自由を支持しているのです。
かつての「結婚は自分だけの問題ではない。」という考えは薄れ、今では「自分の考え方やタイミングによって結婚するかどうかは自分で決める。」という価値観が広まっています。
とは言え、一生結婚したくないという未婚者は案外少なく、「ある程度の年齢までには結婚したい。」と思っている人がほとんどのようです。
平均初婚年齢
1980年、平均初婚年齢は男性27.8歳、女性25.2歳でした。
それが2012には男性30.8歳、女性29.2歳と、3~4歳程度上がっています。
結婚への自由度が高くなった事と同時に、男女とも大学への進学率が上がった事や、女性でもキャリアップを目指す人が増えた事等、様々な要因によって晩婚化は進んでいます。
それに伴い、第一子を出産する年齢もどんどん高くなる傾向で、少子化や不妊の増加のひとつの原因としてとらえられています。
結婚の利点
結婚する事に利点があると考える人の割合は、男女ともに利点がないと考える人を上回っています。
利点としては「精神的な安らぎ」や「子どもや家族を得られる」という回答が多いようです。
また、共働きが一般的となって来ている近年は「経済的に余裕が出来る」という利点もあるでしょう。
まとめ
結婚相談所の原点が江戸時代に既にあったという事に、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
結婚相談所は婚活の定番とも言えますが、その歴史についてまでは知らない人が多いのです。
結婚に対する意識は、昭和から平成を経て令和に至るまでに、大きく変化しました。
現代ならではの自分に合った婚活方法で、一生を共に歩むパートナーを見つけていただきたいと思います。